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「豪熱炎神オーガスター」って何? って人のための特急解説ページ。

はじめに

 この作品を120%楽しむには、まぁ色々と面倒くさい前提条件がありまして(笑) 昔から俺と付き合いのある方にとっては、

「あ~、そんなコトあったな~。懐かしいわ~」

 的な昔話なんですが、初めてこの作品に触れる方のためには、このドラマCDが誕生するまでの経緯を説明しておかないといかんような気がしたんで、急遽この解説ページを作ることにしました。

 “あの頃”を知っている古参兵の方は、ニヨニヨと思い出し笑いでもしていただければ、こうして10年ぶりに恥を忍んでパンツを脱ぐ甲斐もあろうというものなんで、生暖かい目でひとつよろしくお願いいたします(笑)

『豪熱炎神オーガスター』とは?

 元々は、俺が10年以上前に初めてWeb…いや、当時的に言えば「ホームページ」上に書き連ねていた、いわゆるネット小説が原型になっています。
 作品のジャンルは、巨大ロボットアクションものであります。

 で、その小説がめでたくアニメ化され(もう何というサムい妄想なのか、こうして書いていて割と死にたくなりますが)、その第X話、イメージ的に言うと4クール1年シリーズ中で大きく物語が動き出す2クール目の後半あたりのエピソードという想定で作られたものが、このサウンドドラマ『豪熱炎神オーガスターEX』なのであります! …うん、本当に死にたい…。

 で、こっから先のダルい長文は、俺の恥ずかしいオ○ニー遍歴のようなものなので、興味なければスパっと飛ばして、

 ■これだけ知っておけば楽しめる、オーガスター基本設定

 こちらに目を通してもらうか、もうそのまま聞き始めちゃってください(笑)
 ただ、言ってみればこの作品は、ライター・おかやまかずひとのある意味で原点のような作品なのも確かなので、10年間の区切りとしてどういう経緯でこの作品が出来上がったのかを記録として残しておこうと思います。本当に暇で暇でしょうがない人だけ、読んでやってください。

『豪熱炎神オーガスターEX』ができるまで

 お話は、『豪熱炎神オーガスターEX』の収録が行われる二年前ぐらいから始まります。
 当時の俺は、19歳。勿論、ライター業の“ラ”の字もつかぬ一介の学生でした。
 更に重度のアニヲタ…それも“ロボットアニメ”オタクでありまして、暇さえあれば過去の名作から当時放映中の作品まで、とにかくVHSフル回転で視聴しまくるという割とどーしようもない状態。

 ところが、学校の友人たちの中には、そこまでディープな“ロボトーク”ができる人間がおらず、この迸るロボットアニメ大好きなハートをどこへぶつけて良いものやらと、日々悶々として過ごしておりました。

 そんな折、IT革命の夜明けがついに我が家にもやってきて、自宅のPCからインターネットに接続できるようになりました。

 …となれば、やることは一つですね。当時はまだ定額ADSLも光回線もありません。その代わり、夜11時~翌朝8時まではどれだけ通話しても定額というNTTの「テレホーダイ」というサービスに加入し、ブロードバンド回線の100分の1ぐらいしか速度のでないアナログモデムを頼りに、えっちらおっちらとロボットアニメ好きな仲間を見つけるべく検索し続けていました。
 そんなある日、ついに心のオアシスと言って良い一つのホームページを発見します。その名を、

【超鋼創星梁山泊】

 と言いました。
 そのホームページには、今では割と珍しくなってしまった「チャット部屋」がありまして、そこでは日本全国に散らばる同好の士が毎晩のようにログインして、ただただひたすらにロボット談義をしているという、端から見ればかなりイカれた…もとい、俺にとっては夢のようなホームページでした。
 最初こそちょっと腰が引けて数日はROMっていた俺ですが、まぁ我慢なんぞできるハズなく、何とか仲間に入れてもらおうとログイン。ところが、そこで予想外の事態が。一通り、その時ログインしていた皆さんと初めましての挨拶を交わしたぐらいのタイミングで、誰かが発言しました。

「…ところで、おかやまさんの“オリジナルロボット”って何ですか?」

 その時、俺は知ったのです。この超鋼創星梁山泊には、「オリジナルロボット創作組合」(略して、オリロボ組合)という通称があるのだということを。
 聞けばこのチャットに参加している人たちは皆、自分で考えたこの世に二つと無い自分だけのオリジナルロボット作品を持っていて、ネットを通じてその作品を発表しているのだと言うではないですか。
 そう、ここは、単に既存のロボットアニメを鑑賞して語り合うだけでは飽きたらず、自分たちのロボットアニメへの情熱を更に一段昇華し、創作の形で迸らせようというキチガ…あまりにも熱すぎる心を持った人々の集まりだったのです。
 かつて宋の圧政を打破するべく集った「水滸伝」の好漢108星に自らをなぞらえ、好漢ならぬ“鋼漢”と号する彼らの気概に圧倒された俺は、ほとんど反射的に、

「あ、明日までに考えてきます!」

 と、応えてしまっていました。
 そうして翌日、ほとんど熱に浮かされたように、授業そっちのけでノートに自分の「オリロボ」設定を叩きつけて生まれた作品が、『豪熱炎神オーガスター』だったのです。

運命の出会い

 今思い返しても、あんなに楽しく創作に没頭していた時は無かったと思います。
 小学生の時に富士見ファンタジア文庫から刊行されていた、吉岡平先生の「鉄甲巨兵SOME-LINE」という、合体ロボットアニメへのオマージュに溢れた小説を読んで以降、漠然と、

「こういうアニメっぽい小説を書く人(当時はライトノベルという分かりやすい呼び方が無かった)になりたい」

 という夢を持っていた俺ですが、10代も終わりに近付くにつれて、現実との折り合いを付ける方向を考え始め、手に職を付けるためにプログラムの勉強をしていました。

 少し話は飛びますが、当時のゲーム業界は史上最大の再編期に差し掛かっていました。
 絶対的なシェアを誇っていたスーパーファミコンがハードとしての寿命を迎え、そこへプレイステーション、セガサターンに代表される他社ハードが、スーファミの後継者の座を巡って凄まじい争いを始めるという、いわゆる“次世代機戦争”が勃発していたのです。
 俺としては、こういう時代にプログラムの技術を学んでおけば、あわよくばゲームソフト会社へ就職、もし叶わなくとも身に着けた専門知識と技術さえあれば潰しが効くという、まぁ今にして思えばオタク学生にありがちな将来設計をしていました。
 その為、“アニメっぽい作家”になる夢はひとまず置いておいて、C言語やらアセンブラやらと格闘する日々を送っていた俺にとって、「オーガスター」は久々に物語を書く面白さを思い出させてくれた作品でした。

 最初こそ、趣味のロボット談義をする場所が欲しい一心ででっち上げてしまった作品でしたが、その内に自分でも意外なほどにのめり込んで行き、とにかく自分の物語をみんなに見てもらいたいと思うようになりました。
 いつしかチャットでも、「ガオガイガーとか面白いよね~」というユルい会話から、「こんな展開とか設定とか考えたんですけど、どうですか? アドバイスください!」と熱弁してしまう毎日。
 今でも仲良くお付き合いしてくれている、当時の俺をよく知る某Y氏が、数年後に、

「あの頃のお前は、とにかく『俺が、俺が』で実にうっとうしかったw」

 と、酒の席で俺をイジるネタにするぐらいに。
 …や、本当にすんませんでした。反省してます(笑)

 まぁそんなイタイ子の書く小説の出来映えがどんなもんだったのかについては、推して知るべしということで割愛させていただくとして…とにかく自分としては楽しくて楽しくてたまらなかったのは、間違いありません。
 ただ、そうなってくると欲が出てくるのが人間というもの。もっと何か、面白くこの物語をみんなに伝えることはできないものかと考え始めていました。

 ここで言う「面白く」というのは、ダメなオタク発想の極と思ってください。当時の作品で例えて言えば、神坂一先生の「スレイヤーズ」がアニメ化されて大ヒットを飛ばしていたことへの憧れ―物書きとしての究極は、自分の小説がアニメになることと信じて疑わず、メディアミックス展開を夢想しちゃうことを、誰に止めることができましょうか? いや、できません!
 しかし、実際にアニメ化なんてのは夢のまた夢だということを理解できるぐらいのアタマは持っていたので、もう少し現実的な方法…つまり、誰かイラストレーターさんとタッグを組んで紙芝居的なものを作ってみるとか、漫画家を目指している後輩をだまくらかして漫画にしてみるとか、まぁそんなことを妄想していたわけです。

 そうして二年ばかりが過ぎた頃、再び俺に運命的な出会いが訪れます。
 それは、オリロボ組合の掲示板にこんな書き込みを発見したのがきっかけでした。

「こんにちは。私たちは、声優を目指す人間で結成した、音声演劇集団ハヴァといいます。ハヴァでは今、新しい試みとしてロボットアニメ風のサウンドドラマを作りたいと考えており、脚本を書いてくださる方を探しています…」

 サウンドドラマ…声優を目指す…声優…声優!!

 ここまで読んでる物好きな皆さんの「あ~」という呆れ声が聞こえてきそうですが、ええそうです、その通りですよ。この書き込みにまたまた俺は反射的に、

「そのお話、とても興味があります! ぜひ自分に脚本を書かせてもらえませんか!」

 と、それまで脚本なんか一度もたりとも書いたことが無いにも関わらず、さも自信ありげな返信を…今思い出すと、本当に頭がお花畑だったんですね、俺。

約束のメロディー

 幸いと言うべきか何と言うべきか、結局その掲示板にて名乗りを挙げたのは俺だけでした。
 …だったと思います。ちょっとこの辺、もう10年近くも前のことなので記憶が曖昧なんですが(もしかしたら他にも何人か手を挙げていたかもしれません)、とにかく音声演劇集団ハヴァさんから、俺に脚本をお願いしますというお返事をいただきまして、俺は人生初の脚本執筆に取りかかることになりました。

 とりあえず、一話完結30分という枠こそロボットアニメのスタンダードであろうということで、ハヴァさんから尺の指定をいただきました。
 続いてネットで脚本の書式や書き込まなければならない内容を調べ、プロットのOKをいただいてからは、あとはもうひたすらに試行錯誤を繰り返す毎日。大体、2ヶ月~3ヶ月くらいかかったでしょうか。この辺もちょっと記憶が曖昧です。
 一応脚本というもののカタチだけは気にして、SEや演技の間、BGMの指定なんかも入れて30分ぐらいだろういうつもりで書き上げた初稿を、夜中に1人自分の部屋で音読してみれば、どう考えても1時間越えは確定。あっちを切って、こっちを削りしてようやく40分ぐらいに収めてみたものを友達に読ませてみれば、

「ぶっちゃけ…つまらんわ…」

 と、容赦のないダメ出し。半泣きになりつつ、毎日登下校の電車内でメモ帳を広げてプロットの練り直し。ようやく、ギリギリで納得のいく出来になったと思えばやっぱり40分越え。いやもう、これ以上のカットは無理とハヴァの代表にジャンピング土下座を入れて尺の延長を了承してもらい、最終稿が仕上がったのが、収録の一週間前ぐらいだったと記憶しています。
 いやー、あの瞬間の勤勉さを今の俺に分けてやりたい(笑)

 そうして、知識も経験もゼロの状態から何とか書き上げた人生初の脚本に、とうとう命が吹き込まれる日がやって来ました。
 練馬区某所にある公民館の会議室を半日レンタルし、出演声優さんたちと顔合わせ。マイクと録音機材とがセットされ、いざ収録開始です。
 収録は、順当に物語の頭から始まったんですが、声優さんが最初の一声をマイクに放ったときのことを、俺は一生涯忘れることはないでしょう。

 本当に感動しました。今まで、単なる文字の羅列でしかなかったものが、生きたセリフになった瞬間を初めて味わった時の興奮は、どんなにここで言葉を尽くしたとしても経験した人にしか分からないと思います。正直、涙が出ました。

 俺の拙い脚本を、この日までに何度も読み込んで来てくれたという声優さんたちの真剣さは、半端ではありませんでした。時に演出担当(声優兼)の方と演技の解釈が割れ、喧嘩腰で衝突する場面も出てきたぐらいです。
 聞いている俺からすればカンペキと思われたテイクでも、納得いかないからもう一度やらせてくれと、声優さん自らリテイク願いが出るような収録現場でした。

 特に印象に残ったのは、ヒロインが涙ながらにゲストキャラに苦言を呈するシーンで、ヒロイン役の声優さんが本当に目を真っ赤にしながら熱演してくれた場面でした。そのシーンを録音してOKテイクとなった直後、その声優さんがペットボトルのお茶をがぶっと一口飲んでから会心の笑みで、「やった」と小さくガッツポーズをするのを見て、俺はもうただただ心の中で「ありがとうございます」を連呼していたのを覚えています。

 その後も、ハヴァさんにはSEとBGMを乗せての大変な編集作業をしていただきました。
 漫画家志望の親友に頼んで、渾身のジャケットイラストと同梱するブックレットのカットを描いてもらいました。…きよまっちゃん、あの時は本当にありがとうね。
 脚本に共感してくれた元ミュージシャンの友人に、オリジナルのエンディングテーマを作詞作曲、歌唱までしていただきました。…チダさん、今でもバイク乗りながら歌うことがあります。
 こうして多くの人々の協力を得て、2001年の12月に『豪熱炎神オーガスターEX ~約束のメロディー~』は完成しました。
 年末に行われた冬のコミックマーケットで初頒布され、ついに俺たちの手の中から飛び立って行ったのです。

 初回の販売部数としては、正直そんなに売れたわけではありません。しかし、21世紀最初の年に今までに経験したことのない事をやり遂げられたという、素晴らしい充実感がありました(その後、色々なイベントに参加したり通販を始めてみたりで、最終的には300~400部ぐらい売れたと思います)。

 あの時、俺が後先考えずに始めてしまった挑戦を暖かく応援してくれた人たち、完成を一緒に喜んでくれた人たち、イベントや通販で購入してCDを聞いてくれた人たち…この作品に関わった全ての皆さんに、今改めて、豪熱炎神生誕十周年目の感謝を伝えます。

 本当にありがとうございました。

おまけ ~その後の“鋼漢”たち

 『豪熱炎神オーガスターEX ~約束のメロディー~』完成から更に二年後、二作目となる『豪熱炎神オーガスターEX2 ~見えないキズナ~』が完成した頃に、諸事情があって、オリロボ組合こと【超鋼創星梁山泊】は突如その歴史に幕を下ろすことになってしまいました。

 最後期のオリロボ組合は、本家梁山泊の108人を越えて120~30人ぐらいの“オリロボ作家”の人たちが交流する、中々大きなコミュニティーになっていました。
 オリジナルロボット作品だけを扱う同人即売会を開くなど、活動も精力的で、こんなニッチなジャンルでこれほど大きなコミュニティーが出来上がったのは、正直凄いことだと今でも思っています。

 ですが、発足から何年も経って、学生だったメンバーは社会人に…最初から社会人だったメンバーは、より責任の重いポストに就くような年齢になり…といったことを考えると、自然な流れだったのでしょう。多くの仲間たちとの思い出を残し、その熱い余韻を引き取るような形で、俺たちの梁山泊は静かにWeb上から姿を消したのです。

 俺もまた、とうとう学生生活を終えて社会人として就職する時期になっていました。
 結局、ゲーム会社に就職することはできなかったのですが、結構真面目に勉強しておいたのが妙なところで功を奏し、半年間の研修を受けるとの条件付きで、都内の大手ゲーム系スクールに講師として雇ってもらうことができました。

 それにしても、最初はお互いの顔も知らないチャット部屋だけの付き合いだったのが、その内にオフ会だ何だと交流の幅が広がり、今でも掛け替えのない友人としてお付き合いが続いている方が何人もいるのは嬉しいことです。
 ネット上で同じ趣味を持っているだけという関係から、一緒に旅行したり、結婚式に出席してお祝いのスピーチをするような仲になる方まで出て来ようとは、10年前の俺にはまったく想像できませんでした。

 オリロボ組合休止後、そうして仲良くさせてもらっている旧メンバーの中には、今の俺と同様にゲーム業界へと進まれた方、プロのイラストレーターになられた方、ロボットとヒーローが好きすぎて玩具デザイナーになってしまった方、書いているジャンルこそ違えどライターとして活躍されている方などが何人もいらっしゃるというのも、また素晴らしいことだと思っています。

 特に、『豪熱炎神オーガスターEX』シリーズ二作で主人公を演じてくださった声優・泰勇気さんのその後は、“鋼漢”として天晴れすぎるものでした(オーガスターEX収録後、泰さんもひそかにオリロボ組合入りしていたのです)。

 しばらくしてプロデビューされた泰さんは、テレビアニメ「爆転シュート ベイブレード」や舞台などで着々と声優としてのキャリアを積み上げられ、とうとう2005年にPS2用ソフトとして発売された「第3次スーパーロボット大戦α」の主人公、「クォヴレー・ゴードン」役を射止め、本当にオフィシャルなロボット作品のパイロットになってしまったのです!

 更には、2007年放映のテレビアニメ「超獣機神ダンクーガノヴァ」において、主役ロボット・ダンクーガノヴァに乗り込む四人のパイロットの一人「ジョニー・バーネット」役を演じるなど、正に“鋼漢”の面目躍如といった活躍ぶりで、旧オリロボ組合員たちからは熱い喝采が送られました。

 その頃には、俺も新たな出会いを経て「アトリエとびうお」設立に関わり、その勢いに乗って勤めていたスクールを退職。本格的にライター業を目指して再始動していました。
 一年間ほどの一切仕事のない日々を講師時代の貯蓄を食い潰してしのぎ、ようやくあるお仕事の声をかけてくださった会社に初めて打ち合わせに向かう俺のカバンには、唯一PRとして先方に渡せる作品…『豪熱炎神オーガスターEX』が入っていたのでした。
 よくも、恥ずかしげもなく企業様に持って行ったもんだとは思います。でもまぁ何だかんだでその仕事がきっかけになって、夢見ていたプロへの第一歩を踏み出していくことになるんですけれども…それはまた、別のお話ということで。

   おしまい。 2009年某日

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